合掌とは仏事ごとだけ?
様々な意味を持つ合掌
2023/09/18
私たちには食事の時に「いただきます」「ごちそうさま」など手を合わせる習慣があります。ここでは様々な場面で使われる合掌についてご説明します。
合掌の始まりはインドの挨拶から
合掌は仏教が始まる以前からインドの礼法でした。
インドの挨拶と言えば、胸の前で両手を合わせて「ナマステ」と言うのが頭に浮かびます。
「ナマステ」と言うのは、「ナマ(namas)」は頭を下げて身体を曲げることで「テ」は「あなたに」という二人称、「あなたに礼拝します」という意味になります。
この「ナマステ」合掌の行儀は互いに人間であることを認め、尊敬しあうという、これほど簡単ながら深い人間の行為は他にはありません。
また、インドでは古来より右手が「清浄な手」、左手が「不浄な手」とされてきました。
「清浄」、「不浄」とされる左右の掌を合わせる合掌は、一切の区別や差別を無くした調和の姿です。
自分と自分以外の人との壁を取り除き、心から敬意を表した姿が合掌だったのです。
仏教における合掌(浄土宗の場合)
先程述べたようにインド古来の礼法が仏教の原点になっております。
仏教では、右手が悟りを開き迷いの無い仏様、左手が迷いの世界に居る衆生を表します。
その両手を合わせることにより、仏様と一体となって往生を願い、清らかな気持ちにならして頂けるのです。
合掌の作法は宗派によって異なりますが、「浄土宗」の「合掌」は左右の指、掌を揃え合わせ、胸の前で手の先の角度は約45度、仏様の方に傾けるようにします。
その合掌を「堅実心合掌」と言います。
その合掌の意味は拝む心が外に現れる姿と言われます。
合掌の姿は実に美しいものであります。
おててのしわとしわをあわせて幸せ
私たち日常生活の中で「合掌」は仏様を敬う以外にもたくさん散りばめられています。
食事のときに「いただきます」「ごちそうさま」の挨拶の合掌。
「ありがとう」「ごめんない」のお礼や謝るときの合掌。
綺麗な景色を見た時に思わず手を合わせたくなるなど、さまざまな場面での合掌。
その中で、感謝の意味での合掌「ありがとう」の語源は形容詞で「有り難し」です。
「存在することが難しい」「滅多に無い」と言う意味があります。
「有り難い」とは存在の尊さ、感謝の気持ちが込められています。
今日も美味しいごはんを頂けて「有り難い」
綺麗な景色や自然の存在に対して「有り難い」
仏様が見守って下さることの「有り難い」
その「有り難さ」に気付いたときに、自然と手を合わせることが出来るのでしょう。
今、自分を取り巻く環境に不満ばかりいうのではなく、些細な事でも自然と手を合わせ、感謝を表せる日常にしたいものです。
生活の中で自然と両手を合わせて合掌するとき、必ず心には感謝の気持ちが浮かんでいます。
その時、「いま、何に感謝の気持ちを感じたのか?」と、少し考えてみましょう。
合掌した掌(たなごごろ)に、幸せのヒントが必ずありますから。
合掌 南無阿弥陀仏